女子美クリエイティブ・
ラボラトリーについて

女子美術大学(以下、女子美と称する)は日本で唯一の<女性のための美大>として、「芸術による女性の自立」、「女性の社会的地位の向上」、「専門の技術家・美術教師の養成」を建学の精神に掲げ、長年の教育研究活動を続けてきました。 その一方で女子美を取り巻く社会は、建学当時からは大きく変容しています。女子美の建学当時(1900年)、美術の現場において女性の存在はマイノリティでした。そのような中で、女性が美術教育を受ける機会を造成し、美術によって女性の自己実現を目指す。その可能性を拓いてきたのが女子美でした。 今や日本の美術学生の過半数を女性が占めるようになっています。現在は美術やデザインの現場において、女性の自己実現を阻むものはなくなったのでしょうか。

「女子大」でなくても女性が美術を学ぶことができる今、これほど多様性が重視される社会が到来した今、女子美にはどのような役割や機能が求められているのでしょうか。本学が<女性のための美大>として、これからも良質な社会の形成に寄与するためには、「女性の自己実現」について、さらには「女性」について、「ジェンダー」について、考え続けなければなりません。そして、女性が自己実現を達成するために、美術大学は何をすることができるか、真剣に議論する必要があるでしょう。

建学以来、女子美は女性の自己実現のための探索をしてきました。そしてこれからも探索者であり続けます。ここに、女子美クリエイティブ・ラボラトリー(女子美ラボ)を創設し、当事者である在学生や活躍する卒業生、さらに社会とともに継続的に議論し考え、その議論や模索し続ける姿を発信していきます。

ディレクター 一同


女子美ラボのロゴマークは、デザインルームに依頼し、4名の学生によるコンペ方式にて、プロダクトデザイン専攻の佐藤愛さんが選ばれました。

学生デザインルームとは、学内外からデザインの仕事を受注し、女子美生スタッフが現役アートディレクターから指導を受けながらデザイン実務を経験する、いわば“学内デザイン事務所”です。

女子美クリエイティブラボラトリーのロゴマークは、女子美術大学が目指す自立した女性像をモチーフにしています。女性の横顔の中に見える2色の吹き出しは、女子美ラボが発信する対話の様子と、様々な意見が交じり合うイメージを表しており、やさしい色合いは、私が感じる女子美術大学のやわらかい雰囲気を意識して選びました。このロゴマークとともに、新たに生まれた未来へ歩むプラットフォームを多くの人に親しんで頂けることを願っています。

プロダクトデザイン専攻3年在籍(2022年度現在)
佐藤愛